第24回 クリエイティブナイトレポート

<クリエイティブナイト第24回>
『有機米おむすび専門店「七むすび」自由が丘本店オープン記念トークイベント』

第24回クリエイティブナイトでは、株式会社エイトブランディングデザインがブランディングデザインを手がける、
有機米おむすび専門店「七むすび」自由が丘本店のオープンを記念して、株式会社七葉代表 朽網一人氏、ABOUT代表 佛願忠洋氏をお招きいたしました。

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「七むすび」とは…
コンセプトを「有機米はおいしい」とした、農薬・化学肥料を一切使用しない有機米おむすび専門店。株式会社七葉代表 朽網一人氏とエイトブランディングデザイン代表 西澤明洋が共同運営を行う。
http://www.7musubi.com
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自由が丘に本店を構えるにあたり、朽網氏は新メニューの開発、佛願氏は店舗設計、エイトブランディングデザイン西澤はコンセプトやロゴ、パッケージ、インテリアディレクションなどのブランディングデザインと、それぞれの立場から「七むすび」の良さを伝えるクリエイティブを実践しています。

各業界のプロフェッショナルが語るお店づくりとは…!?

●お店づくりのきっかけ
西澤:もともと朽網さんと僕は、「七むすび」に取り組む前から、抹茶カフェ「nana’s green tea」のブランディングデザインで10年以上のお付き合いがあります。こちらのカフェは今や100店舗に迫る勢いですが、まずはどういったきっかけで「nana’s green tea」を始めたのかお話しいただけますか。

朽網:僕はもともとサラリーマンをやっていたのですが、会社のルール通りに働くことが向いていないな、と思い独立を決意しました。その後、自分が好きで続けられることは何だろうと考え続け、最終的には飲食業をやることに決めました。そのきっかけとなったのが、学生時代の飲食のアルバイトです。フレンチや和食、バーや高級クラブなど、様々な種類の「食」に出会いました。同時に、お店を運営するマネージャーやオーナーが、料理人を雇うことがいかに大変かということも沢山見ていたので、料理人を雇わないお店ができたら新しいのではないかと考えたんです。

でも、料理人を使わない飲食業なんて、そうないわけで。昼間に営業する店で、軽飲食にすることは決めていたのですが、何をするか悩みましたね。そんな中、独立するより前からすごいなーと思っていたのがスターバックスでした。当時からどこの店舗に行っても行列だったんです。それを見ていて、「僕もこんなのやってみたいなー。」と思っていたことがきっかけで、よし、僕もカフェにしよう!と決断しました。すると次はどんなカフェなら誰もやっていないだろう?となるわけですが、偶然にもテレビで東京から来たOLさんが温泉街のお茶屋さんに並んでいるシーンを見て、抹茶と団子で人って並ぶんだなーなんて思ったときに、「あれ、もしかして抹茶でスターバックスやったら面白いんじゃない?」って結びついんたんですよね。
そして翌日から、お茶を使った店なら京都と静岡だろうと、行き先を決め、自分と同じような発想の店がないかくまなく探し回りました。その結果、誰もやっていないことを確信し、これは自分がやるしかないと思って始めたのが、独立して最初の飲食業「nana’s green tea」のスタートです。

●素材へのこだわり
西澤:朽網さんの強みは「いい素材を引いてくる」ことだと思うのですが、nana’s green teaで使用している素材にもこだわりがあるのでしょうか。

朽網: 創業当時から今でも続けているのが抹茶の改良です。最初は、こだわりなく抹茶を使っていたんですけど、混ぜると青い粒が浮いてくるのを見て、こんな変なものを出してはいけないと改めました。卸してくれるお茶屋さんはすぐには見つからなかったのですが、アルバイト時代のご縁をきっかけに、今ではたくさんの素晴らしいお茶屋さんとお付き合いがあります。本物のお茶をたっぷり使うから、他社で抹茶を使った商品が出てきても、負けないような美味しいものが出せるんです。

西澤: 後に「七むすび」につながるお米も素晴らしい出会いがあったのですよね。抹茶だけでなくお米もやってみようと思った理由は何なのでしょう。

朽網:日本の食文化って、寿司や懐石、和食とたくさんのスタイルがありますが、この多様で奥深い文化を可能にしたのは主食の「米」があったからだと思うんです。ですから、日本の食文化の原点である「米」をしっかりやりたいと思いました。お茶が既にnana’s green teaで柱となっていましたので、そのお茶と合わせて、新たにお米も良いものを追求していこうと考えていました。
そんな中、ご紹介いただいたのが浦部農園さんです。そこでは多種多様なお米を全て有機でつくっていて、「奇跡の農園」とまで呼ばれています。有機栽培は手間もコストもかかるので、もともと直売のみだったのですが、今では専用のプラントまで立ててくれています。実際食べてみると、甘くて、しまっていて、本当に美味しいんです。
そんなお米との出会いがあり、「素材の良さを全面に出した、有機米のおむすび専門店をやりたい」と思い、お店を立ち上げました。

●七むすびのデザイン
西澤:有機米おむすび専門店を立ち上げるにあたり、僕はブランディングデザインという立場で関わらせていただきました。デザインをする上で一番大切にしたかったのは「有機米」というものがつくられる背景まで、きちんと伝わるようにする、ということです。
「七むすび」というネーミングは、お米をおいしくつくる七人の自然の神様のお話がもとで、そこに人の手を加えて美味しいおむすびをつくっていこう、という想いでつけています。ですので、ロゴデザインも神様である太陽、山、風、水、大地、虫、草木をモチーフにし、パッケージも5年10年たっても古びない、わかりやすくて、シンプルなものをデザインしました。

●七むすびの店舗設計
西澤:自由が丘に七むすび本店を出店するにあたり、朽網さんが有機米で究極の「素材」勝負に出ているので、空間も「素材」に向き合ってつくりたいと考えていました。そこでお声がけしたのが佛願さんです。
彼は建築で使う素材も自分で手を動かしてつくってしまう、朽網さんとは異なる角度で「素材」にこだわる人ということで、話が合うのではないかと思い依頼させてもらいました。

佛願:僕自身の話をさせてもらいますと、自分の性格はアバウトってよく言われるのですが、「ABOUT」=余白を残しておくという意味で、会社名を「ABOUT」に決めました。前職は、建築、グラフィック、プロダクト、アーティスト、家具職人、大工という6人が集まって始めた会社にいました。なので、一見無理だろうって思うことでも協力してやれば意外となんでもつくれる環境でしたね。その時の仕事では、図面をかくだけでなく、素材を自分で切ったり染めたりして、一個一個マテリアルを制作するなど、体を動かすことも多くありました。

西澤:「七むすび」の実際の店舗つくりについて教えていただけますか。

佛願:みんながイメージするおむすびって色々ありますよね。僕はそのイメージを3つに整理してみました。それが「白むすび」と、「具入りの入れ子」状態のおむすびと、「混ぜご飯」のおむすびです。この3つを店舗で実際に使う素材に置き換えてイメージしていくと、「白むすび」は白塗装、「具入りの入れ子」は木材で、「混ぜご飯」はスケルトン素材の少し曇りがかったところが当てはまるかなって思ったんです。
実際に出来上がった店舗は、二階の客席を三つの構成でつくっています。階段を上がったところに「混ぜご飯」をイメージしたスケルトンの壁を用意し、真ん中の空間には入れ子状に杉板を貼ることで「具入りのおむすび」を、奥の窓際のスペースには白い壁を用いることで「白むすび」を表現しました。それと、トッピングは梅干ししかないなと思い、真っ赤なソファを一番奥の壁につけちゃいました。

西澤:単純にお客様が座る箱をつくるのではなくて、おむすび屋さんを体験するための装置として設計されたという感じですね。


西澤:朽網さんはどうでしたか。佛願さんとお仕事をしてみて。

朽網: 僕はたいていの場合、会ってすぐに一緒に仕事をできるかできないか決めるのですが、佛願さんは第一印象の時点で、大丈夫だと感じました。こちらの考えていることは全てお伝えしたので、あとは好きなようにやってもらえばいいと思いましたね。実際に仕事が始まってみると、佛願さんは普通の設計屋さんとは違って、予算があろうがなかろうが、設計への考え方を変えず、自分の思ったことをやる人だとわかったので、信じて任せることができました。

西澤:そんな自由が丘本店のご縁から、新たに京都に出すnana’s green teaの設計も佛願さんに設計をお願いしています。こちらも朽網さんから物件のお話を聞いた時に、2人揃って設計は佛願さんだな!と即決しました。いいお店になりそうですね。さらに今後はワイキキにも出店ということで、日本と海外両方で本当に美味しい有機米のおむすびを広めていこうと取り組んでいます。皆さんも是非お店に足を運んでおむすびを食べてみてください!

本日はありがとうございました。

※nana’s green tea「新京極店」、七むすび「ワイキキショッピングプラザ店」は既にオープンしています(2019年2月現在)

●七むすび
http://www.7musubi.com

〈自由が丘店〉
東京都目黒区自由が丘1-29-28
〈ワイキキショッピングプラザ店〉
2250 Kalakaua Ave, LL100-15, HONOLULU, Hawaii 96815

●nana’s green tea
http://www.nanasgreentea.com

〈新京極店〉
京都府京都市中京区新京極四条上る中之町565
〈ワイキキショッピングプラザ店〉
2250 Kalakaua Ave, LL100-15, HONOLULU, Hawaii 96815
他、東京スカイツリータウンソラマチ店、
上本町YUFURA店など、全国に店舗を構えています。

●ABOUT
http://tuoba.jp

ABOUT代表 佛願忠洋氏

1982年 大阪府出身。2008年‒2011年 佐藤重徳建築設計事務所 勤務、2011年‒2015年 graf 勤務、2015年‒ ABOUT 設立。
ABOUTは前置詞で、関係や周囲、身の回りを表し、副詞では、おおよそ、ほとんど、ほぼ、など余白を残した意味。


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