第22回クリエイティブナイトレポート

<クリエイティブナイト第22回> 
第22回クリエイティブナイト「商売とデザイン」のゲストに、GEORGE CREATIVE COMPANY代表 天野 譲滋さんをお招きいたしました。

天野さんは目に見える形だけが「デザイン」ではなく、運営においてもクライアントと共に歩み、経営まで「デザイン」するという、新しい「デザイン」活動で注目を集めています。
企画から販売まで「商売」をきちんとやり通すことが使命というお話には、天野さんの生い立ちも深く関係しているようです。「デザイン芸人」と自らを称すユーモアあふれるお人柄、関西弁トークで笑いの絶えない楽しい夜となりました。

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●まずは自己紹介をお願いします

肩書きは、デザインビジネスプロデューサーです。昔はプロデューサーって、何屋さんやねんって思っていたけどね。
簡単に言うと、デザインを切り口にリアルに売上や利益をあげる人、かな。リアルじゃないと。かっこいい空間を作るだけではだめですね、利益あげないとだめ。リピートしてもらうには結果を出してなんぼやと思うから。

「職人」と「プロデューサー」で考えてみると、職人は知識が深い。デザインも奥が深いやんか。つまり専門領域が深いのが「職人」。広く浅くが「プロデューサー」かな。僕は何かを極められへんし、不器用やし。そういう意味では、ずっといろんなものに興味があって、広く浅く、みたいな知識がプロデューサーには必要かなと思っています。今はそれに挑戦しているってところかな。深い知識に関しては、僕はできないから職人さんに任せて一緒に仕事をやっていくって感じかな。

●天野さんが代表を務める「GEORGE CREATIVE COMPANY」とは?

『見たい、食べたい、行ってみたい……何かをしてみたいと思う瞬間は、誰もがワクワクする気持ちになります。
空間、商品、ビジュアル、体感を通してワクワクするライフスタイルを提案します。』

こんなことを言っている会社なのですが、ライフスタイルというところが大事です。ライフスタイルはずっとなくならへんからね。そして、ワクワクすることもミソです。ものの消費からライフスタイルの消費に変わってきているんですよね、コトとか体験。
あとコミュニケーション。世の中にめちゃくちゃ情報量が多い中で、どうコミュニケーションしていくのか。自分がどうやってメディアになるのか。そういう意味で、自分たち発信のプロモーションも結構実践しています。企画として、インスタ映えする場所を作ることが多くなりましたね。

「GEORGE CREATIVE COMPANY」の体制としては、5つの部署(スペースデザイン、インテリアコーディネート、グラフィックデザイン、プランニング、フードサービス)にスタッフがいます。
クライアントさんへ「お気軽に丸投げしてください」と言っていたら、このような体制になりました。それがうちの強みなんですよね。クライアントさんもワンストップでやったほうが楽やん。ショップ立ち上げでいえば、うちはインテリアもやるし、トイレのブラシまでコーディネートします。一貫してやれますっていう方が安心してくれるんですね。スキルが足らないところは外部の人と一緒にやるときもあります。

02

●実際のお仕事について、まずは店舗関連について教えてください。

<インテリアショップ GEORGE’S>

ジョージズは、地域密着の生活雑貨のお店です。全国津々浦々の路面店舗から駅ナカで展開するチェーン店舗です。
お客さんのイメージを、ちょっとおしゃれなサザエさんファミリー、としました。サザエさんの家族構成になぞってジョージズファミリーを作りました。サザエさん一家みたいに、3世代が集える雑貨屋さんです。当時は、雑貨店=女性の、みたいな感じだったから、お父さんがお店の前で待っているっていうのはおもしろくないな、と思って。お父さんでも買えるものやおじいちゃんおばあちゃんが買えるような和雑貨をそろえたり、ニューファミリーが買う家具、とかも置いたりして、3世代を取り込めるコンセプトでやっていたら商業施設に呼んでもらってチェーン展開に成功したっていうお店です。

<コーヒーハウス ヨーロピアン>

おもしろかった仕事に、コカコーラジャパンさんの「ジョージアヨーロピアン」があります。
この缶コーヒーは猿田彦珈琲に監修をお願いしているもので、僕はプロモーションを担当させてもらって、青山で2ヶ月間だけポップアップのコーヒーショップをやりました。やっていることはシンプルで、缶コーヒーを温め直してカップに注いで出すっていうカフェ。でもその場所でCMも撮って放映してたから、「CMの店がリアルにある」ってSNSでつぶやかれたりとかしてバズりました。
こういう企画で難しいのは、リアル店舗というとお客さんが1日に来ても何百人程度やんか。同じお金をかけるならCMならもっと広く流せるけど、みたいなところ。でもコカコーラの方も見に来てくれて、リアルにお客さんの反応が見えるのがいいねってなって、キャラバンで全国まわったりとか展開していきましたね。

こんな感じでリアルなプロモーションを作って、そこからSNSを使って拡散するっていうことに、CMよりお金をかけるところが増えてきたなぁ。あとは、駅の改札前の券売機のスペースにコーヒースタンド作ったり、コンバースの日本初の直営店作ったりとか、いろいろやっています。

●プロダクト系も手がけていらっしゃいますね。

そうですね、売れる商品開発もやっています。

03

<東京国立博物館>

はじめお声がけいただいて何ができるかなって博物館を周っていたら、さすがお宝だらけなんですよね。そのお宝をガチャガチャにしようと提案しました。館長がやりましょうって言ってくれて海洋堂さんにフィギュアにしてもらいました。
これが、めちゃめちゃ当たりました。
60~80歳くらいのシニアの方が、はにわとか土器とか観たあとにガチャガチャ置いてあるとすごい萌えるみたいで(笑)。あるときクレームがあって、ガチャガチャの中に入ってた遮光土器の片足が取れてるとかって言うねん。そ
れ出土時からですから…、みたいな(笑)。

これが調子よかったんで、また何かしようってことになって日本画の風神雷神のフィギュアを作りました。
日本画って平面やから誰も背面を見たことがないわけです。それを立体にするっていうのはほんますごくて。筋肉のつき方とか時代背景から帯の巻き方とか研究して作りました。しかも、だいたい風神だけ、雷神だけで買う人おらんからセットで限定3000個が即完売(笑)。

こういうのは、自分で欲しいなぁって思うやん。
大切にしているのは「いつもお客様目線である」ってこと。自分が自腹で買うのか。メディアがくるような
ミーハー感はあるのか、とか。企画のアイディアは週5回の会食があって夜遅くに家に帰っても録りためたテレビ番組の録画を1.3倍速で必ず見ています。情報を色々知っていて、このタレントさん最近よく出てるよね、とか海外でこういうの流
行っているよねとか知っておかないと。「ジョージさんなんか面白いことある」って言われて期待に応えたいからアイディアが枯渇しないように気をつけてますね。

04

●家具屋の息子ゆえの「リアル」な思考

実家は京都の家具屋です。親父がアメリカかぶれで、僕の名前も「ジョージ」(笑)。母も舶来のものとか好きでいっぱい溢れていました。大学ではインテリアデザイン専攻です。勉強机のデザインという課題があって、僕は家具屋の息子だから「売れてなんぼ」という意識があったわけです。自分のデザインはシンプルで、これは売れるなーと思いました。
他の人の作品は、これどうやって作るねん、コストすごいやん、みたいな。
壁に張り出したみんなの課題を先生が講評するんですけど「これなんやねん」みたいなこと言われて。リアルに考えて「僕のが一番売れると思います」っていったら「今から何考えてんねん」ってめちゃ怒られたわけです。
これはあかんなぁと思って。学校は落第しないように最低限行ってあとはソニープラザでバイトしていました。
将来は家具屋を継ぐより自分で商売やりたいと思っていました。実家が家具屋、バイトが雑貨屋、だから家具と生活雑貨を合わせた店をしたいなぁって。チェーンオペレーションみたいなところはバイトで学びましたね。

●在庫を持たずに商売する時代

実は在学中にジョージズを京都で始めたんです。それを10年くらいやって、東京へ出て横川さんとCIBONEを10年くらいやって、そう思うと、自分の人生10年単位みたいなところがあって次何しようかなと思いました。
考えていたのは、ずっと在庫持って商売してきたので、もう在庫持って商売する時代じゃないなと。自分の経験とネットワークが広がってきたし何かできひんかなと思って。
それで「GEORGE CREATIVE COMPANY」を立ち上げました。とはいえクリエイティブの実績はない。でも「リアルな商売やってた人ですよね」っていうところでちょこちょこ信頼してくれて、「この人やったら酸いも甘いも分かってる」っていうのでいろいろ実績を積ましてもらって今に至るっていう感じです。

●「プロデュース」というクリエイティブ

「プロデュース」という仕事は、監督というか。
店舗を作るのに、運営やグラフィックや飲食だったらシェフとかいろんなポジションがあるのをハーモニーとしてまとめる役目です。そのときにクライアントはどういうことを狙っているか、半歩先なのか、一歩先か、二歩先かっていうのを読み取りながら提案します。心理カウンセラーみたいですね。俯瞰して今こういう状態だからっていうのができないと無理ですね。
納期ない、予算ない、っていうのも大好きで。そういう問題にどうやって返していくかっていうのが楽しい、どMかなぁ(笑)。
ニーズがあって僕を呼んでくれたクライアントに面白く返したい。そして自分ではできないことがあるから、いろんな人と組んで世界が広がる。そういうのが楽しいですね。人がわーっときて買ってもらう、うれしい
顔で買ってもらうことがうれしいなぁ。

●目線を合わせるチームビルド

5つも体制があると、文化の違う人が集まるのでいろんなジャンルの人を抱えるっていうのは大変な面もあります。
デザインって、いい悪いとか好き嫌いが人それぞれなので正解はなくって、じゃあ誰が正解かとい…
われればうちの会社では、僕が正解なので僕が先導をとります。チームリーダーを立てて、チームでやっていくっていうビジョンは明確にして、僕はこのクライアントさんはこういうことを目指しているというのをチームリーダーに丁寧に伝えています。一緒のご飯を食べたり、一緒のものを見たりしてスタッフとの目線合わせをしていくのが大事ですね。

●最後に、天野さんにとってデザインビジネスプロデューサーとは?

簡単に言うと、商売、仕事かな。
仕事とは何かっていえば、唯一の趣味やねんな。プライベートと仕事の区別はなくて、仕事は趣味!究極の働き方やんな。

●ありがとうございました!

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