第 17 回クリエイティブナイトレポート

第 17 回クリエイティブナイトのゲストは、
違法な建物を適法改修し、多くの建築を再生させている、建物の法律家、建築再構企画代表 佐久間悠さんをお招きいたしました。

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前半は佐久間さんによる事例をご紹介いただきながらレクチャー。後半は弊社代表・西澤との対談で、佐久間さんの仕事観を堪能する会となりました。
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【 建物の法律家 】

●建築再構企画は、違法な建物を適法改修し、多くの建築を再生させています。
ご自身の仕事について、建築家やデザイナーのサポート役という佐久間さん。
なぜこのような仕事をされているのでしょうか。

佐久間さん(以下、佐):建物の再利用を考えたとき、実行していくためには建築時の手続きが適正に終えている必要性がありますが、それが為されていない建物が非常に多いのです。
例えば、日本には約820万戸の空き家があり、それをシェアハウスや民泊に活用しよう、という動きがあっても、用途を変えるには申請がいります。
建物を使えるようにしていくためには、基本は今の法律に合わせる必要がある。そうなると、適切に手続きが為されていない建物は利用できない、ということになってしまう。そこで僕の会社では、そういった物件を手を加えることで適正な状態にする、という設計を行っています。
それでも、僕は、法律は足かせのように建築をがんじがらめにしていくものではなくて、柔軟に使っていくことで建物のポテンシャルを高めてあげることができると思うんです。
 意匠設計をやっている人は、法規はめんどくさいと思っているし、弁護士も建築基準法は専門性が高いので、あんまりしたくない。だけど適法改修の需要はある。
ここでやっていけたら稀有な存在としてやってけるのでは!?と思った。
誰もが嫌がっている分野では、「頑張ってやります」といえば仕事はなくならないだろう、ということでやることにしたんです。

●建築再構企画では、どのような思いで活動されているのでしょうか。

佐:「建築を動かす」をコンセプトにしています。これには、ふたつの意味があって、
1つは、建物を物理的に動かす。
不動産という言葉があるように普通、建物は動かないもの、と考えられています。でも動かすことで活用のしがいがでてくるんです。
2つ目は、施設を動かす。
最近、空き家が問題になっていますが、「使われていないことで問題になっているところ」を動かしていく。つまり、動かし方をソフト面からなんとかしてあげる、ということです。

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【 建物を、読み解く 】

●佐久間さんは、設計やインテリアのキャリアがあるにも関わらず、建物の適法改修という分野にクリエイティビティを見出されてるのは、なぜなのでしょうか。

佐:僕には、他の設計者の方が描いた図面を見ていると、推理小説を読んでいるような楽しさがあるんですよね。
ずっと図面に向き合っていると、図面の描き方で建物の良し悪しがだんだんわかるようになる。
図面に表現されていないけれど、「おそらくこうではないかな?」と想像していたことが、現場で見て、その通りになっていると、感動です!(笑)
 いい建物というものは、行った瞬間に、人相みたいに「家相」があって、すぐわかる。そのいい建物の決め手は、オーナーなんです。オーナーが愛着を持って建物を維持していること。
例えば、ちゃんとした設計者を見つけてこれる人柄があるオーナーだと、そのオーナーには手抜き工事をする人はついてきません。結果、いい建物ができます。
 そんなことを考えるとドラマなんですよね。だからいい建物を再利用しようとしたときに、「〜だからできないです」という回答しか出せないのは損失だと思っています。
法を足かせではなくて、ツールとして建物のポテンシャルをあげることができる仕事。それが楽しいです。

●佐久間さんの、既存の建物に対しての読みの能力は、とてもクリエイティブですね。
佐久間さんは、自分をどんどん広義化している感じがします。
意匠設計をするには、法律などをやらないと、狭義のデザイン(※)ができないから、法律の分野など、広義でのデザイン(※)をやっていこう、というような。
ご自身で、「デザインをしている」という感覚はありますか?

(※広義と狭義のデザイン)
一般的なデザインとは、見える造形(姿・形・色)。でもそれはデザインのひとつの側面である(狭義)。
狭義のデザインの裏側には、仕組みや考え方があり、そういった広義の意味でのデザインが大事である。

佐:あります。
「こういうことは外さないで行こう」と決めるのは自分だったりするので。
建物は、一番初めに使う用途や規模に対して最適化されているものなので、次に使うときに新たに必要な事に対しては、いろいろ選択していける。
法規制を解決するために、広義のデザインの上位の方でアイデアを持てるとアウトプットが変わるのもおもしろいです。
見た目が優れたデザインの製品は、それを実現するために、見えない部分の基板や部品の構成がすごく良く考えられています。
僕はそれもデザインの一部だと思っていて、建物の設計でも同じだと思っています。

●最後に、ご自身の専門のクリエイティブ「建物の法律家」を一言で表すと?

佐:ロマン…ですかね。
「これを見てみたい」という思いがモチベーションになっています。
オーナーとデザイナーの、建物に対する想いやデザインのサポート役として、建物をクリエイティブに使うお手伝いができたらと思っています。

●ありがとうございました!

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