第 16 回クリエイティブナイトレポート

第 16 回クリエイティブナイトのゲストは、
代表作に、キヤノン・デジタルカメラ「IXY Digital」、瀬戸内国際芸術祭・出品作品「オリーブのリーゼント」などが人気を集める、S&O DESIGN 株式会社代表/プロダクトデザイナーの清水久和さんをお招きいたしました。

「清水久和流!デザインの遊びかた」と題し、
前半は清水さんによるデザインリサーチ活動「愛のバッドデザイン」や作品についてのレクチャー。
後半は弊社代表・西澤との対談で、「デザインを本気で遊ぶプロ」である清水さんを堪能する会となりました。

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◯ ◯ ◯ デザインリサーチ活動「愛のバッドデザイン」  ◯ ◯ ◯

グッドデザイン賞はもらえないけれど、グッドでユーモラスな存在感を放つモノたちに敬意を込め「愛のバッドデザイン」と名付け、身のまわりのささやかなものに美を見いだすデザインリサーチ活動です。
「愛のバッドデザイン」は、記憶をテーマにしたデザインリサーチ活動で
清水さんにとって、記憶の中にある、感覚の原型のようなものだそうです。
それは誰しもが持っているもの、という解説からスタートし、
紹介される「愛のバッドデザイン」の数々に、
観客は自分の記憶を辿りながら清水さんの世界に引き込まれていくのでした。

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◯ ◯ ◯ 「愛のバッドデザイン」レクチャーより抜粋 ◯ ◯ ◯

◯ テーマ:価値

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<リレーのバトン>
清水(以下、清):茶色は人気がなくて、今ではピンクになっちゃいましたね。
これのおもしろいところは、リレーの時だけ国宝級の扱いをうけるところ。
あの瞬間だけ輝くプロダクトです。

2

<輪ゴム>
プロダクト製品は、どれもカチカチっと形が決まっていることが多いけど、
輪ゴムは、ひとつひとつ違った形で生まれる。それがおもしろい。
どうしてそうなるのでしょうか。
丸い細い型で成形されてて、最初はまっすぐで丸いの。
まだ熱いまま型から取り外すから、ふにゃふにゃになっちゃう。
だからこういう形状が生まれるんだなって想像しなくちゃいけない。

◯ テーマ:チームワーク

3

<プリン・ア・ラモード>
今まで紹介したのは、ソロ活動でしょ(笑)
これはチームワーク。プリンが、俺は俺はって出てないでしょ。
そのプリンの余裕がどうして出るか。周りのみんなが盛り上げてくれてる。これがチームワーク!

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<アイスのサジ>
この人たちは家族ですね!

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<ふくらませるところ>
僕がとても好きなデザイン。一体成形ですね。
使うときだけ出てきて、役目が終わるとひっこんでしまう。こんなすばらしいデザイン見たことないですね。
こんな風になりたいですね。人としてね。

◯ ◯ ◯ デザインリサーチ活動から生まれた作品たち ◯ ◯ ◯

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<チューチューシャンデリア>
長崎県美術館に所蔵されています。
チューペットを333本使っていて、液体も若干蒸発しちゃうんです。1年しかもたない(笑)

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<チューペット立て>
チューペットって荒く扱われているけれど、もっとフォーマルに食べたい。
これにチューペットをセットして、テーブルに出してほしい。
これを発表したとき、デザイン界からは酷評されました(笑)

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<アイスクリームスプーン>
「愛のバッドデザイン」でご紹介した、アイスの木のサジを毎回使えるように作ったやつですね。
今も販売していただいています。

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<まげ貯金箱>
切り落とされたちょんまげが石垣の上にのってます。
上にスリットがあって、全体が貯金箱。
2mくらいあって、今はうちから、どこにも持っていけない状態です(笑)
だから小さいやつも作りました(笑)

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<日本史シリーズ>髪型編

歴史上の登場人物の髪型がついた鏡です。縦が、1m60cmくらいあります。
作り方をご紹介するとね、こういう小さいスケッチを描くんです、1つが3cmくらいの(笑)

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そのままトレースアップします。
最初のスケッチって生き生きしてるんですよね。2回目3回目はもうだめなの。
僕は、最初のアイデアと完成までの間を一気になくす方法を研究してるんです。

<フルーツシリーズ>フルーツテーブルランプ

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これをやりたいなと思ったのは、町で愛のバッドデザインを見たから。

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充実してますよね、ジューシーな感じで。
こういうの見て、こんな感じの作品を作りたいなと思ってたんです。

<IXYシリーズ>

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これもね、同じような考えで作ったんです。
例えば、スピーカー穴とか普通丸い穴開けるじゃないですか。だけど、丸く開けずになんかできないかなと思って。
それで思い出したのが、やかんの穴。

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僕はこれがすごく好きで。
これは下からガツンと穴を開けてるんですね、同じ発想で、スピーカー穴を、上からガツンと開けました。
でも目立ってこない、量産品ならではですね。
いろいろトライしてるんだけど、量産品は表に出にくい。1点ものは、コンセプトが出しやすいんだけどね。

<オリーブのリーゼント>

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これは、屋台というか無人販売所みたいなものです。
依頼としては、屋台を作ってくれって言われて。
それは作りたくないなーと思って、これを作りました。
屋台なので、小さい穴が開いていましてそこに果物などを置けます。
リーゼントがひさしみたいになっててね、果物たちを守ってる。
子供たちとワークショップもしました。リーゼント体験とか、直接ペンキで描くとか。
島でも盛り上がってくれて、リーゼントの神輿とかね。
地元の高校生が、これ担いだおかげで甲子園行けたんですよ(笑)

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去年の瀬戸芸(瀬戸内芸術祭)では、ボラードを作りました。
ボラードというのは、船が停まる時に紐をひっかけるやつですね。
小豆島って、日本唯一のヨットメーカーがあって、そこで作ってもらったんです。
ヨットと同じ手法でね、作られてる。
3mないくらいの大きさで、外側磨くのが大変。大人4人がかりで1ヶ月かかりました。
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◯ ◯ ◯ 後半(対談) ◯ ◯ ◯

西澤(以下、西):やっぱり遊んでますね。つっこみどころだらけ(笑)
         キヤノンでは最初どのようなことをされていたのですか?

清:カラー複写機とかパーソナルコピー機とかのデザインをしていました。
  あと野球部とかデザイン以外のことも結構していましたね(笑)
  そして、サンフランシスコで3Dを研究しろって言われて行って、そっからですね。
  コンティニュアスデザインを考え始めました。
  プロダクトって最初のアイデアと製品がずいぶんかけ離れてる。
  だけど、ファッション業界ってそうでもないですよね。スケッチが形になってる。
  それがいいなと思って。初めのアイデアと完成を繋げたい。
  どうしても二次元の表現って限界があるんです。
  二次元で描いて伝えても、自分のイメージ通りにできあがってこないっていうジレンマがありました。
  それなら初めから、線じゃなくて面で考える3Dのがいいだろうと思って。
  まったく描かずに3Dでやっちゃうってことも多いですね。

西:普通だったら、模型を作ってみる方法が多いと思いますが、どうして3D?

清:3Dの性能がいいんです、モック作るより断然精度がいい。
  モックだと素材によってはよくわからないけれど、3D画面の中での立体物はすごくよくわかる。
  イメージとしては画面の中で粘土をこねるイメージですね。

西:そのやり方は、清水さんならでは?

清:そうかもしれないですね。
  ボラードもそうやって作りました。よくわかるといっても、3Dプリンターで何回も出して、検証はしますよ。

西:キヤノンには24年もいたということですが、どうして辞めたのでしょうか?

清:なんででしょうねぇ。
  色々やらせてもらったので、やることがなくなっちゃって。
  野球もやりましたし(笑)。遊ぶこともなくなっちゃって。
  おもしろそうだし会社作ってみようかなって思って、西澤さんに相談したんですよね。

西:そうなんです。
  実は、S&O DESIGNのロゴは弊社で手掛けています。
  ここらへんの思いも教えていただけますか。

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清:S&O DESIGNは、プロダクトデザイナーの僕とデザインディレクターの岡田栄造のコンビなんですけど、
  僕の「s」と岡田の「 o 」が、なめらかにつながっているようなイメージでロゴをデザインしてもらいました。

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西:キャッチコピーみたいなものもありましたよね。

西・清:「攻めよ!恐れるな。」!

清:昔から、攻めきるっていうの必要だなと思ってて。

西:その姿勢が作品にも出ていますよね。
  クライアントワークでも攻めた作品を出されていてすごいです。

清:失敗もたくさんしましたよ。
  キヤノンの対応しか知らなかったから、みんなデザインのことよくわかってるだろうと思って
  話したりてコミュニケーションに失敗しましたね。
  相手のカルチャーを知らないとうまくいかないです。

西:どんな感じでオファーがくるのですか?攻めた作品が受け入れられる提案ってどんな感じなのでしょうか。

清:全くデザインを知らないクライアントからのオファーは「なんとなく目立つものがいい」とか。
  そういう会社に対しては、シンプルなものから攻めたものまで6種類くらい提案します。そして選んでもらう。
  最後は、会社のコンセプトよくわかってる人に決めて欲しいなと思ってるので。
  自分の作品は、アートだとは思ってなくて、コンテンポラリーデザイン。
  IXYシリーズも他の作品も本当に変わらなくて、作る数だけの違いかな。
  量産と少数でデザインは変わってくるので、作る数の問題みたいなところはあって、
  8個くらい作って価値を高める、とかね。
  そういう場合、クライアントワークなんだけど自分の主たる部分が出てもいいのかなとは思っています。

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西:では最後に、清水さんにとっての「プロダクトデザイン」とは?

清:え!うーん、考えたことなかったなぁ。うーん。
  (5分くらい悩んで)愛のあるデザイン!

西:清水さんは、言葉にならないところも多いかなと思ってましたけど、
  お人柄も含めて、デザインを遊んでいる姿が、やっぱり清水さんだなということで
  とても楽しい会になりました。ありがとうございました。

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